理論

授業の目的と目標を明確に設定すること

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よりよい授業設計のための一つ目のポイント「授業の目的と目標を明確に設定すること」について説明していきます。

これは3点のなかでも最も重要な項目です。

何のために授業を行うのか。

何を授業のゴールとするのか。

 これらの不明瞭なままでは、いかにレクチャースキルが高く豊富な教育技法を持っていたとしても良い授業はつくれません。アクティブラーニングがいかに優れた技法であっても、それはあくまでツールでしかないのです。目的・目標のない授業は竜骨を欠いた船のようなもので、いかに船体が丈夫でも万里の波濤を蹴っての大航海には耐えられないでしょう。逆にこの目的・目標が明確であれば、100%講義法による授業を行ったとしても、学習者の満足度はそれほど低くないはずです。

 では授業の目的・目標とはどのようなものでしょうか。

目的

 授業の目的は、何のためにその授業を行うのかという、その授業の存在意義を示すものです。

 たとえば、私が飲食業界のある企業で行った英語研修で設定した目的は以下のようなものでした。

「各店舗の店長として接客応対レベルの英語コミュニケーションができるだけでなく、(社名)の将来の幹部候補生として事業のグローバル展開に貢献する人材になるために必要な英語力の基礎・学習習慣を身につけること」

 このように、何のためにその授業を行うのか、ということを明瞭に規定しましょう。目指すべきものさえはっきりしていれば、ぶれることなく首尾一貫した授業を行うことができます。

目標

 目標は、目的の達成に対して学習者ができるようになることが期待される具体的な行動を示すものです。目的の項目で挙げたある企業での研修の目標は以下のように設定しました。

  1. 語学に堪能であることの可能性を理解すること。
  2. 接客分野以外でも日常会話ができるレベルのリスニング力と発話力を身につけること。
  3. 効果的な語学学習の進め方に関する知識と学習習慣を身につけること。

 これらの目標は、先述の目的に沿って設定されたものになっています。目的を達成するために学習者は何ができるようになっている必要があるのか、ということを逆算することで目標も明確になります。

 たとえば「①:語学に堪能であることの可能性を理解すること」「③:効果的な語学学習の進め方に関する知識と学習習慣を身につけること」という目標は、目的の「将来の幹部候補生として事業のグローバル展開に貢献する人材になるために必要な英語力の基礎・学習習慣を身につけること」という箇所に沿っています。グローバル展開に貢献する人材になるためには、この研修中で努力するだけでなく研修後も継続して語学学習を行う必要があるため、自主学習のモチベーションと効果的な学習のノウハウを得ることも学習の目標に組み入れました。

 もうひとつ例を挙げましょう。私が開いている英語教室での、中学生への授業での目的設定と目標設定です。

 目的は、

「将来英語でコミュニケーションを図れるために必要な、リスニング力、語彙力、発話力、文法理解の基礎をつくること」

というように設定して授業を行っています。

この目的に対する各回の授業目標は以下のようなものを用意することが多いです。

「教科書の単元◯◯の内容を聞き取って理解することができる。また、本文内容を図や絵を援用しながら英語で説明することができる」

 この目標には、本文内容の理解、語彙・文法の修得、発話力が要求されるため、目的に沿っていると言えるでしょう。

 このように、まず授業の目的を設定し、それをもとに逆算することで学習者が目指すべき具体的な目標が浮かび上がってきます。目的と目標の設定の際にはいくつか注意すべき点がありますが、それらは目的・目標について詳述する章にゆずりたいと思います。とにかくここでは、目的・目標を明確に設定することの重要性を認識しましょう。目的・目標を欠いた授業で特に最悪なのは「50分でできるだけ教科書を進める」などのケースです。これでは学習者側もなにを目指して授業に参加すればよいのかがわからなくなってしまいます。

目標や目的については、学習者・教育者、それぞれの視点でのメリットを詳しくまとめています。

学習者から見た目標設定の重要性と具体例

教育者から見た目的・目標を設定する重要性

 

授業設計のための残り2つの手法についてはこちら

授業の目的と目標を明確に設定すること

学習への内発的動機を高めること

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