理論

目的・目標から学習者目線で逆算して授業設計すること

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 よりよい授業設計のための一つ目のポイント「目的・目標から学習者目線で逆算して授業設計すること」について説明していきます。

 「学習者目線で」というのは、あまりに当たり前で陳腐な表現に聞こえるかもしれませんが、改めてこれが実際にできているかどうかを内省すれば、多くの教員の方が冷や汗をかかざるをえないのではないでしょうか。教室は「生徒が学ぶ場」であり、「教師が教える場」ではありません。教室の主人公は教師ではなく生徒であり、教室の時間は教師のためではなく、生徒のために存在するのです。

 授業の目標が明確に設定されたら、次はどう授業設計すれば学習者がその目標を達せられるかを考えながら授業をつくっていきましょう。

 「授業の目的と目標を明確に設定すること」で取り挙げた中学生の英語の授業を例に見ていきます。

 この授業での目標は、

「教科書の単元◯◯の内容を聞き取って理解することができる。また、本文内容を図や絵を援用しながら英語で説明することができる」

でした。

 まず授業の着地点から設計します。目標を「本文内容を図や絵を援用しながら英語で説明する」と設定しているので、本文内容についてのミニ・プレゼンテーションを着地点に据えます。次に、プレゼンテーションの準備・練習をする時間を用意し、またプレゼンテーションに向けて表現や発音の定着が図れるように本文を音読練習する時間を組み込みます。

 また目標に「教科書の単元◯◯の内容を聞き取って理解することができる」と設定しているため、本文への最初の接触はリスニングで行います。生徒全員に配布しているiPadの中に入れてある教科書CDの音源を各自のペースで聴きながらディクテーション(耳で聞いた内容を書き取ること)させます。このディクテーションでの目的は、聞き取れない箇所をはっきりさせることです。聞き取ることができなかった単語や表現をはっきりさせた上で音読練習をすることで、リスニング力の穴を埋め、聞き取る力を伸ばすことができます。

 また本文内容や語彙・文法については、教師側が講義形式で伝えるよりは、先に資料や日本語訳を渡して分からないところを質問させる形式の方が時間を効率的に使え、かつ学習者ひとりひとりの課題に対応できます。わかっているところを講義されて退屈に感じる学習者もいなくなります。

 これらを50分の授業として組むとすると、下のようなタイムテーブルになります。

 *トランスレーションシート…英語を意味のかたまりごとに改行し、該当の日本語訳を併記したシート。英語を英語の語順で理解するのに適した教材。

 むろん、各活動に割く時間は、教材の難易度や量に応じて適切に設定します。累計時間が41分となっていますが、各活動の説明に要する時間や不測の事態などを考慮すれば、この程度の余裕を持たせて授業を設計するのが望ましいでしょう。

 さて、もうすでにお気づきになったかと思いますが、この授業の中に、私が教師として何かを講義する時間は全く含まれていません。完全なアクティブ・ラーニング形式の授業です。しかし、アクティブ・ラーニングの授業を目指してこうなったわけではありません。目標を明確に設定し、目標達成のためにどのような学習が必要かを学習者目線で考えた結果、このような能動的・主体的な授業にならざるを得なかったというだけです。この授業内のすべての活動は目標に沿ったものになっており、かつ何をどの程度すれば目標を達成できるのかを学習者目線で考慮して設計しています。

 講義法のみの授業が批判される大きな理由のひとつはこの学習者目線の欠如でしょう。100%講義法の授業によって教師は10の内容を”伝達”できるかもしれませんが、学習者はその10のうちの3しか”修得”できないとすれば(もちろん個人差はあります)、10の内容量は学習者側からすれば不適切ということになります。仮に、学習内容を精選し量を5に削りつつ能動的な活動を入れた結果4を修得できるのであれば、そのほうがよいということになります。何をどう学習すれば学習者は目標を達せられるのか、よく考えて活動を組みましょう。この点についても後に詳述したいと思います。

 

授業設計の残り2つの手法についてはこちら

授業の目的と目標を明確に設定すること

学習への内発的動機を高めること

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